「万葉集をフランス語で歌う」リヴィエール音楽サロン Salon de Riviere

「万葉集のフランス語朗唱」と「シャンソン」

フランス語に翻訳された万葉集とはどんなものでしょうか❓ 万葉集は和歌形式(短歌)の「五七五七七」で詠まれています。 例えば「梅の花」の中には「音節」が何個あるでしょうか❓ 音節とは「ア・イ・ウ・エ・オ」の母音のことです。 う(1個)+めェ(1個)+のォ(1個)+はァ(1個)+なァ(1個)音節は合計(5個)です。 皆様は手近な「俳句」を詠む時に、指を折って音節を数えますね。 フランス人(語)も指を折って音節を数えながら、五七五の音節で俳句を詠むのです。この五七五が重要なポイントです。 梅の花「fleurs de prunier」は「フル(ゥ)ール・ド(ゥ)・プル(ゥ)・ニ(ィ)・エ」で、五音節と数えます。上の「フ・ル」と「プ・ル」の2個の子音は続けて速く発音するので、母音が入らないと考えるのです。 ◆それで、私が万葉集に付けたメロディで、フランス語万葉集も歌っています。

2009年10月

万葉集巻三の三二四 山部赤人「三諸の 神名備山に 五百枝さし...」

万葉集巻三の三二四 山部赤人

日本語で歌っていただくために→ローマ字表記を付けました
フランス語をメロディーに合わすためのページ:

Sur la montagne sainte ◆ロ−マ字表記
♦Mi-mo-ro-no
三諸(みもろ)の
「聖なる山の上に」
qu'habite un dieu
♦kan-na-bi ya-ma-ni     
 神名備山(かんなびやま)に
「神がすんでいる」
etendent leurs cinq cents rameaux
♦i-o-e-sa-si 
五百枝(いほえ)さし
 <500の小枝を伸ばしている>
pousses drus
♦si-ji-ni oi-ta-ru
繁(しじ)に生(お)ひたる
les pins tsuga
♦ tsu-ga-no-ki-no
 栂(つが)の木の
de proche en proche
♦i-ya-tsu-gi-tsu-gi-ni
 いや継(つ)ぎ継ぎに
 「近くから近くへ、そこら一面に」
  (de Aa(en)B→AからBへ)                        
comme liane jolie
♦ta-ma-ka-zu-ra
玉葛(たまかづら)
 「宝石の葛の木のような] 
sans jamais avoir de cesse
♦ ta-yu-ru ko-to-na-ku
 絶ゆる事なく 
 <an cesse 絶えず>
c'est de la sorte que
♦a-ri-tsu-tsu-mo
ありつつも 「絶える事無く」
toujours voudrais revenir 
♦ya-ma-zu ka-yo-wa-mu
  止まず通よはむ
a la vieille capitale D'Asuka
♦a-su-ka-no hu-ru-ki-mi-ya-ko-wa
 明日香の古き京は
car montagnes y sont hautes
♦ya-ma-ta-ka-mi
山高み
et riviere abondantes
♦ ka-wa-to-ho-si-ro-si
 河とほしろし
les jours de printemps
→ha-ru-no-hi-ha
♦春の日は
montagnes je voudrais voir
♦ya-ma-shi-mi-ga-ho-shi 
山し見がほし
les nuits d'automne
♦a-ki-no-yo-wa
(ahーah) 秋の夜は
riviere sonnent clair
♦ka-wa-si-sa-ya-ke-si 
河し清けし
Dans les nuages du matin
♦a-sa-gu-mo-ni
 朝雲に
des grues se croise le vol
♦ta-zu-ha mi-da-re
鶴は乱れ (ah,ahーahー)
dans le brouillard du soir
♦ yu-u-gi-ri-ni 
夕霧に
grenouilles menent grand bruit
♦ka-wa-zu-ha sa-wa-gu
かはづは騒く
chaque fois que j'y vais voir
♦mi-ru-go-to-ni
見るごとに
je ne sais que sangloter
♦ne-no-mi-si na-ka-yu
音のみし泣かゆ
au souvenir d'autres temps
♦i-ni-si-he-o-mo-e-ba 
いにしへ思へば(ah,ahーahーah,ahー)

「世界の飛鳥へ」明日香村の世界遺産登録に向かって:私もこの歌をフランス語で発信します

今回の私の歌は万葉集巻三・三二四の山部赤人の長歌
「三諸の 神奈備山に 五百枝(いほえ)さし 繁(しじ)に生(お)いたる栂の木の いや継ぎ継ぎに 玉葛 絶ゆる事なくありつつも 止まづ通はむ 明日香の 古き京は 山高み 河とほしろし 春の日は 山し見がほし 秋の夜は 河し清けし 朝雲に 鶴は乱れ 夕霧に かはずは騒ぐ 見るごとに 音のみし泣かゆ いにしへ思えば」と1300年来延々と続いている明日香の自然の風景の美しさを歌いましたが、私の歌を村長様に聴いていただけなかったことが、唯一の心残りです。毎回審査員席にお座りですが、今回はお休みでした。多分公務でお出かけだったのでしょう。
 明日香村は「世界の飛鳥へ」と世界遺産登録に向けて準備中ですが、私も村民の一人として、この歌をフランス語で世界に発信します。

 来年の平安遷都1300年祭の明日香村での催事に参加したいものです。個人での参加は無理でも、「明日香村万葉朗唱の会」と「コーラス明日香風」(はこの1年間石井歓作曲の合唱曲集「明日香の風」を練習して来ました)が出演できる方法を考えて見ます。

10月25日の明日香村芸能祭には「明日香村万葉朗唱」の部で出演できます。カラオケの伴奏は先を急いだ歌い方になりがちですが、明日からまた練習に入りましょう。
 
「三諸の 神奈備山に....」のフランス語版

Sur la montagne sainte [聖なる山の上に]
   すゅる らもん・たにゅ さんと
qu'habite un dieu  [神がすんでいる]
  きゃびたん でゅ
etendent leurs cinq cents rameaux
  え・たーん ルゥるさ[e]ん さ[a]ん らも
            [500の小枝を伸ばしている]
pousses drus  [茂って(密生した)生えている]
  ぷせ どぅりゅー
les pins tsuga  [栂・ツガ(松の種類)の木]
  れぱ[e]ん つが
de proche en proche [近くから近くへ→そこら一面に]
  どぅ ぷろしゃん ぷろーしゅ(de Aa(en)B→AからBへ)
comme liane jolie  「宝石の葛の木のような]
 こむ りあんぬ じょりー、
 sans jamais avoir de cesse [san cesse 絶えず]
  さんじゃめ ざヴぉあーる ドゥ せす
c'est de la sorte que [de sorte que:〜できるように]
 せ・どゥら そると(ゥ)・く [絶える事無くありつつも]
toujours voudrais revenir
   トゥじゅーる ヴどゥれ るヴにーる
a la vieille capitale D'Asuka
  あらヴぃえゆ きゃぴたるだすか
car montagnes y sont hautes
  かるもんたにゅ・ずぃ そん・とーとぅ
et riviere abondantes 
  えーりヴぃえーる あーぼんドンとゥ
les jours de printemps
  れーじゅる ドゥ ぷらんたん 
montagnes je voudrais voir
  もんたにゅ じゅヴドレ ヴぉあーる
les nuits d'automne
  れ にゅい どートンぬ
riviere sonnent clair 
  リヴィエール ソンヌ くれーる
Dans les nuages du matin
  だん れにゅあーじゅ デュまたん
des grues se croise le vol 
  でぐりゅー すくろワーず るぼる
dans le brouillard du soir 
  だんる ぶるいやーる デュそわーる
grenouilles menent grand bruit
  ぐるぬいーゆ めのん ぐらんぶりゅい
chaque fois que j'y vais voir
  しゃくほぁく じヴェヴォわーる
je ne sais que sangloter
  じゅぬせく さんぐろて
au souvenir d'autres temps
  おーすヴにーる どートゥるたん

2009/10/3 第7回 万葉の歌 音楽祭終了しました

惜しくも入賞は逃しました。でも自分の声楽人生で最良のコンサートになりました。国営飛鳥歴史公園石舞台地区野外ステージ「あすか風舞台」で、71才を記念する「明日香歌曲」を熱唱できました。何時の日か明日香の土に還る日が訪れる私が、明日香の自然の美しさを「玉葛絶える事無くありつつも」と詠んだ「山部赤人の長歌」が歌えました。審査員長は「赤人の挽歌ですね」と評されましたが、生きとし生けるものにはやがて「挽歌」が訪れるもの...これを喜びを以って受け留められる人生を生きたいと思いました。

 主催の犬養記念館の皆様、館長様をはじめ審査員の皆様、当日ご来場くださって、私に貴重な1票を投票してくださいました明日香村の皆様には、本当に有難うございました。
 
 以前ソプラノのMさん(友人)が志貴の皇子の「采女の袖吹き返す明日香風京を遠みいたずらに吹く」を歌ったとき、「これは遷都した後で歌ったものですね?」何故この歌を選んだのか?と質問されていました。「赤人の挽歌ですね?」も単なる歌の解説だったのか? 廃れ行くものの美を歌ってはマイナスなのか?...敗者の勘繰りは止めましょう...
 
 今回も伴奏を作曲演奏いただいた「橋本尚様」には
本当に有難うございました。心からお礼申し上げます。
先生のピアノが有ればこその今回の成果でした。今後もよろしくお願いします。

 当日の入賞者は次の通りです。
大賞:「子らを思う歌〜秋の七草」グループ名 M&M&子猫たち
    作・ピアノ 三船麻理(奈良北葛城郡上牧町)
    歌・畑中雅英(バリトン) ・2〜5才の子供たち5人

村長賞:「秋山の下隠り」 グループ名 とこおとめ
    作・ウインドチャイム 風香(愛知県刈谷市)
    ピアノ・裕香


記念館賞:「世の中の無常を悲しむる歌一首、歌読み二首」
    グループ名 嶋村千代松と童
    作・嶋村千代松・目井 童(富山県高岡市)<旦でもなく一の上は目なのだ>
    編曲 藤久尚子・歌 内山太一(バリトン)・踊り 高林のり子

私の個人的感想は
「M&M」は出場4回、1度目と今回の大賞受賞
(素晴らしいグループです。第4回に初出場されましたが、万葉集一番の雄略天皇の御製歌「籠もよみ籠もち...」その第一声を聴いた時に、美しいバリトンの迫力に度肝を抜かれましたね。今回は途中に輪唱風のアレンジが入り、幼子の歌声が会場を沸かせました)

「とこおとめ」は3回出場、先回は記念館賞
(お手紙や来宅してくださり、万葉集に魅せられた保母さんです
上昇風に乗って回毎に昇階しています。研究熱心で努力家です。今回も秋風を歌って胸が温かく嬉しくなる歌でした。)

高岡のグループは初出場で会場を魅了しました。
演出家に編曲家と踊り手に年配のこれも素晴らしいバリトン奏者で最後の声明風な朗唱が皆の心を掴みましたね、一服の舞台劇を思わせました。

高岡市は今、万葉集全巻を三日三晩朗唱する祭典の20周年の記念音楽祭の最中です。明日香の犬養記念館万葉の音楽祭審査委員長の岡本三千代氏は毎回主賓に招かれておられます。そこでの「万葉歌がたり」演奏と多忙です。それで「第7回万葉の歌音楽祭」の明日香はお留守中です。




   
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